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第4回「債権管理のツボ〜消滅時効に気をつけろ!」


どこの会社でも、売掛金・未収金(債権)をきっちりと回収するために気を配っていると思います。
と言っても、その程度はまちまちで、中には、案件横断的な債権管理のための帳簿を作成しておらず、回収状況が集約できていないケースもあります。
つまり、各担当者に任せっきりで、債権の回収状況を一元的に把握できていない会社があるということです。

これでは回収できるものも回収できなくなってしまうので、まずは情報の整理整頓をして、債権の回収状況を一元把握できるように管理しましょう。


さて、債権管理に気を配っても、すぐに債権回収ができないケースは少なくなく、やむなく回収作業が長期化してしまうこともままあります。

このときに何より気をつけなければならないのは、債権が時効によって消滅してしまうことです(「消滅時効が完成する」と言います)。
消滅時効が完成しても、相手方が、いさぎよく支払ってくれればよいのですが、時効の効果を利用する(「時効を援用する」と言います)として支払を拒まれた場合、本当に消滅時効が完成していれば、請求を諦めざるを得なくなってしまいます。
債権が100万だろうが1億だろうが、1日でも時効完成の日を過ぎてしまうと、一切回収できなくなってしまうのです。何と大きなダメージでしょうか。


 
では、どれだけの期間が経ったら消滅時効が完成するのでしょうか。つまり時効の期間が満了するのでしょうか。
一般の債権では、支払期日から10年が過ぎれば消滅時効が完成します。ただし、会社が有する債権は、商行為によって生じた債権ですから、原則5年で消滅時効が完成します。
基本的には5年だと思っておいて下さい。


ただし、一部の債権については、「短期消滅時効」といって、もっと短い期間で時効になってしまいます。例えば、工事代金などは3年、「生産者・卸売商人・小売商人」の売却代金(つまり物を売った代金です)などは2年、運送料金や飲食代金等は1年で消滅時効が完成してしまいます。
うっかりと時効が完成してしまいかねないほど、意外に短い期間で時効になってしまうのです。


消滅時効の完成を防ぐにはどうすればよいでしょうか。もちろん一番良いのはそれまでに回収を終わらせることです。

次に大事なのは、時効の期間をリセットさせることです。民法では、「請求」「承認」「差押え等」によって、時効期間をリセットして、また1日目からのカウントに戻すことができるように定められています。
「請求」とは裁判を起こすことだと思って下さい。時効が完成する前に裁判を起こせば時効はストップします。そして、判決を取ったら、その後は時効期間が10年になります。そして10年経つ前に「差押え」をすれば、永久に時効完成を防ぐことができることになります。

「承認」とは、債権の存在を、債務者に認めさせることです。例えば、一部でも支払ってもらうことがこれに当たります。また、定期的に、債務の総額を承認させ、弁済方法を確認する証書を作成することも重要です。

もう一つ、「裁判外の催告」と言って、内容証明等で催促することで時効の成立を6か月間先延ばしにすることができます。これは1回限りなので、6か月毎に内容証明を送って・・・という手は通用しません。6か月間の猶予を得た間に裁判を起こさなければなりません。


消滅時効の成立を防ぐためにも、前述した債権管理の帳簿をしっかり作っておき、それぞれの債権があとどれだけで消滅時効にかかってしまうのかを一元的に把握し管理しておくことが大事です。
そして定期的に債務承認の証書を作成するなどして、時効が完成しないようにしましょう。

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