会社は誰のものか
Posted : 2011年1月23日 12:14
| Author : 銀河法律事務所
| Category is |
小説「ハゲタカ」シリーズ(現在第3部まで刊行されています)が好きで,何度か読み返しています。
TVドラマ版は見ていませんでしたが,先日から,DVDをレンタルして見ている途中です。ドラマ版も,少し設定は違いますが,主人公鷲津政彦の魅力を存分に描き出しており,非常に面白く見ています。
小説「ハゲタカ」の主人公鷲津政彦は,もとはニューヨークでジャズピアニストを目指していましたが,ある出来事を機に,投資ファンドの世界に身を投じ,巨大投資ファンドKKL社の日本法人代表として,淀んだ日本経済にメスを入れるのです。
不良債権を買いあさり,そして,危機に瀕した企業を買って再生させ,転売し,巨利を得るのです。
鷲津は,日本の会社を買いあさるハゲタカとして一般には忌避されていますが,実はハゲタカではなく,日本を蘇らせるヒーローではないのかと評価されるようになっていきます。そして,「ゴールデンイーグル」と呼ばれるようになるのです。
ハゲタカを読むときにはウイスキーが欠かせません。ロックでバーボンを煽りながら,鷲津になりきって読むんです。周りから何と言われようが,正しいと思うことを,卓越した能力を武器にやり遂げる。弁護士もこうありたい・・!俺は鷲津だ・・・!!
さて,ハゲタカで一貫して取り上げられているテーマ,それは「会社は誰のものか」ということです。
法律的には簡単です。それは「株主のもの」です。
個人企業では株主が創業者一族と一致しているので,経営者・創業者のものだと認識してもあながち間違いではありません。しかし,株式を公開した途端に,会社は他の人の手に渡るのです。
従前,日本企業は,株主といっても,銀行が保有していたり,関連企業と持ち合っていたりして,株主の意向を気にする必要がなかったので,上場前とあまり変わらない認識(経営者のもの)を持っていても困ることはありませんでした。
しかし,欧米の機関投資家を始め,「ものいう株主」が大口株主としての地位を占めるとそうはいかなくなります。経営者と株主の意向が一致しなくなったとき,軋轢が生ずるのです。
そして,もう一人,企業には主要なプレイヤーが存在します。それは従業員です。
従業員が会社の所有者だと法的には言えませんが,従業員が「自分の会社」だと思って働いてくれることは,その会社にとってとても有益なことです。従業員の利益にかなうように経営することが必要です。
しかし,従業員の利益と,企業の利益は,必ず一致するとは言えません。
高度成長時代ならともかく,グローバル資本主義経済時代では,双方の利益は相反するのです。
具体的に言えば,人件費が増えれば企業の利益が減るのです。企業の利益が減ると,株主(本来の会社所有者)にとって不利益です。配当に回せる原資が減りますし,株価も低迷するからです。
昔は(銀行が保有していたり持ち合いだった時代),株主が権利を主張しなかったので,この点を気にする必要はありませんでした。ほっといても経済水準が上がっていき,株価も上がっていくので,安定株主が文句をいうことは無かったからです。
ところが,短期間でのリターンを重視するような欧米の機関投資家や投資ファンドが株主になると,そうはいきません。大規模なリストラ(従業員を減らすというだけにとどまらず,事業の切り売りなどによる事業再編を含む)により,利益を増やすことを要求するのです。
ここで経営者は,株主と従業員の板挟みにあうのです。
何が正解なのか,一義的に答えることは困難です。
会社個々の状況だけでなく,日本の経済状況や,労働者の労働観・ライフスタイルなどによって,ケースバイケースなのかもしれません。
私が住む熊本のような,地方の中小企業においては,このように機関投資家の関与などは考える必要がありませんが,企業利益と従業員利益の調和という点は本質的に重要です。
企業を支える経営者と従業員とが,ともに利益を得るために,知恵を絞ることが必要なのです。
私も弁護士として,そのためのお手伝いができればと,いつも考えています。
TVドラマ版は見ていませんでしたが,先日から,DVDをレンタルして見ている途中です。ドラマ版も,少し設定は違いますが,主人公鷲津政彦の魅力を存分に描き出しており,非常に面白く見ています。
小説「ハゲタカ」の主人公鷲津政彦は,もとはニューヨークでジャズピアニストを目指していましたが,ある出来事を機に,投資ファンドの世界に身を投じ,巨大投資ファンドKKL社の日本法人代表として,淀んだ日本経済にメスを入れるのです。
不良債権を買いあさり,そして,危機に瀕した企業を買って再生させ,転売し,巨利を得るのです。
鷲津は,日本の会社を買いあさるハゲタカとして一般には忌避されていますが,実はハゲタカではなく,日本を蘇らせるヒーローではないのかと評価されるようになっていきます。そして,「ゴールデンイーグル」と呼ばれるようになるのです。
ハゲタカを読むときにはウイスキーが欠かせません。ロックでバーボンを煽りながら,鷲津になりきって読むんです。周りから何と言われようが,正しいと思うことを,卓越した能力を武器にやり遂げる。弁護士もこうありたい・・!俺は鷲津だ・・・!!
さて,ハゲタカで一貫して取り上げられているテーマ,それは「会社は誰のものか」ということです。
法律的には簡単です。それは「株主のもの」です。
個人企業では株主が創業者一族と一致しているので,経営者・創業者のものだと認識してもあながち間違いではありません。しかし,株式を公開した途端に,会社は他の人の手に渡るのです。
従前,日本企業は,株主といっても,銀行が保有していたり,関連企業と持ち合っていたりして,株主の意向を気にする必要がなかったので,上場前とあまり変わらない認識(経営者のもの)を持っていても困ることはありませんでした。
しかし,欧米の機関投資家を始め,「ものいう株主」が大口株主としての地位を占めるとそうはいかなくなります。経営者と株主の意向が一致しなくなったとき,軋轢が生ずるのです。
そして,もう一人,企業には主要なプレイヤーが存在します。それは従業員です。
従業員が会社の所有者だと法的には言えませんが,従業員が「自分の会社」だと思って働いてくれることは,その会社にとってとても有益なことです。従業員の利益にかなうように経営することが必要です。
しかし,従業員の利益と,企業の利益は,必ず一致するとは言えません。
高度成長時代ならともかく,グローバル資本主義経済時代では,双方の利益は相反するのです。
具体的に言えば,人件費が増えれば企業の利益が減るのです。企業の利益が減ると,株主(本来の会社所有者)にとって不利益です。配当に回せる原資が減りますし,株価も低迷するからです。
昔は(銀行が保有していたり持ち合いだった時代),株主が権利を主張しなかったので,この点を気にする必要はありませんでした。ほっといても経済水準が上がっていき,株価も上がっていくので,安定株主が文句をいうことは無かったからです。
ところが,短期間でのリターンを重視するような欧米の機関投資家や投資ファンドが株主になると,そうはいきません。大規模なリストラ(従業員を減らすというだけにとどまらず,事業の切り売りなどによる事業再編を含む)により,利益を増やすことを要求するのです。
ここで経営者は,株主と従業員の板挟みにあうのです。
何が正解なのか,一義的に答えることは困難です。
会社個々の状況だけでなく,日本の経済状況や,労働者の労働観・ライフスタイルなどによって,ケースバイケースなのかもしれません。
私が住む熊本のような,地方の中小企業においては,このように機関投資家の関与などは考える必要がありませんが,企業利益と従業員利益の調和という点は本質的に重要です。
企業を支える経営者と従業員とが,ともに利益を得るために,知恵を絞ることが必要なのです。
私も弁護士として,そのためのお手伝いができればと,いつも考えています。